健康住宅
■病気になる家に気がついた
最近住宅産業界で話題を集めているのは、「健康住宅」である。それは新築の家に引越したら、目がチカチカしたり、新建材や塗料、接着剤の匂いで不快な感じになり、ついに体調を崩したりするという話である。つまり家そのものが病気の原因になるというので「シックハウス症候群」と呼ばれている。これについてはたびたび報道されているので、すでにご承知の通りである。シックハウスの意味は病気の家という事だが、これは一九七九年にデンマークの学会で、シックビルという題名で論文が発表され、建物に使われた材料から揮発する化学物質を吸い込むことで、住む人の健康を害する恐れがあるという警告であった。わが国でこれが話題になり始めたのは二年ほど前のことである。それ以来急速に関心が持たれるようになり、今では雑誌でも新聞でも、これが載っていない号はないほどに、広く話題の対象になっている。さる専門の医学者によると、十人に一人の割合でこの新築病に悩まされているとのことだから、これだけ強い関心が持たれるのも当然ともいえよう。考えてみると私たちの住む家が、農薬と同じ成分の化学物質で汚染されているとしたら、これはたいへんなことである。苦労して無農薬、低農薬食品を手に入れながら、農薬の充満した家で暮らすとしたら笑い話では済まされない。大気汚染や農薬の汚染は以前から大きな話題になっていたのに、一番身近で一番長い時間を過ごす家の中の汚染が、これまで話題にならなかったのは手落ちであった。本来ならもっと早い時期に、住宅業界なり、インテリア業界の中から、こうした弊害について警告が出されて然るべきであった。それにもかかわらず今日に至って問題になったことは、怠慢のそしりを受けても止むを得ない一面がある。室内空気汚染が話題になり始めてから、私は遅ればせながら反省をこめて「インテリア湯の華論」なる拙文を書いた。


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