木の知識
■木は死ぬとどこへ
森林の樹木は年をとる(老化過熟)と、自然に地面に倒れ、その後、土壌、風雨、気温、微生物などの働きによって、分解(腐敗)し始めます。無機化が20〜30%進むと、植物が育つための土壌の最低条件を満す状態と同じになり、この分解過程にある倒木の上に種子が落ち、発芽・生長していくことがあり、これを「倒木更新」と呼びます。もっと分解が進んで、完全に分解してしまうと、林床には、その倒木の跡形もなくなります。その後に新しい木の生命がまた着床・発芽・生長していきます。倒木更新の例は、とくに北海道の原生林でよくみられ、直径1m近い大樹が、なんと30mにもわたって一直線に何本も並んで見られることがあります。これはまぎれもなく、何百年か前に樹高30メートル以上の過熟木が倒木して分解し、その上に種子が落ちて発芽・生長し、大木になったものです。つまり、木は土にかえってしまうということす。