基準 | 解説 |
1.適用範囲
この基準は機械を用いて加工されたログハウス部材を対象とする。
2.等級
ログハウス部材は、その品質に応じて特等と1等に区分する。
3.表示
ログハウス部材の表示にあたっては、部材形状を角、タイコ、丸、
D型 の4種類とし部材幅、働き高さの公称寸法を以下にしたがっ
て表示する ものとする。なお、寸法はmm単位で表すものとする。
 | この基準は、機械加工部材を対象とするハンドメイドのログハ
ウス部材には適用しない。
ログハウス部材の強度性能に関する品質については、針葉樹
の構造用製材の日本農林規格(以後、JASと呼ぶ)に対応させ、
特等は製材JAS甲種構造用Uの2級に、1等は同3級に準じている。
ログハウス部材の呼称を標準化し、一般ユーザー、設計者、流
通関係者間でのログハウス部材の取引の便を考えて設定した。
部材形状は通常ログハウス部材の形状を参考に、角、タイコ、丸、
Dの4種類に分類している。
中間的形状も考えられるが、その場合、部材形状の呼吸の選択
はログハウス部材メーカーの自主判断に委ねられている。部材
寸法は建築材寸法表示の慣習に従がいmm表示とし、壁厚を示す
部材幅、働き高さの順に表示することとする。 |
4.寸法、精度
以下の加工精度に関する規定はログハウス部材加工時のものとする。
なお、真円丸棒部材の直径は10mm単位のものを基準とする。
1)ログハウス部材については、その断面に関して高さ、幅の外形寸法
および溝加工等の各部寸法、さらに部材長さ、交差部仕口位置、形
状を明記するものとする。
2)部材の加工精度は以下のとおりとする。
高さ、幅等の外形寸法 ±1mm以内
部材長さ、ボルトまたはダボ穴
の間隔、仕口位置 ±1mm以内
その他の加工を施した部分の寸法 ±0.5mm以内
| 加工精度の基準値は現在の加工技術レベルや他の同様の基準
(例えばプレカット材のAQ認証など)
を参考に設定したものであり、外形寸法、長さ、加工位置に
関しては1mm精度、加工部形状に関しては0.5mm精度とした。
真円丸棒の直径についてはログハウス部材の設計、流通面で
の規格化の促進を考慮し、標準直径を10mm単位とするよう設
定された。
図において、高さ、幅(円弧部が未加工のものを除く)であ
るH、B及び長さ、位置に関するL、L1、L2、L3、L4は1mm精度
加工部であるX1、X2、X3、X4、X5は0.5mm精度となる。 |
5.品質
以下の品質に関する基準はいずれも工場出荷時におけるものとする。
1)腐朽 ないこと
2)虫食い ないこと
3)傷、穴 顕著でないこと
4)曲り
曲りは部材の両木口を結ぶ外縁線からの最大矢高を測定し、材長に対
する比で表すものとする。
曲りは材長の0.5%以内とする。
5)割れ
貫通割れはないこと。
木口割れは、木口においては髄を超えてのびていないこと、さらに
材面に延びたものはその長さが材長の1/3を超えないこと。
材面割れは、軽微なこと。
目回りは、髄から半径2cmを超える部分にないこと。
6)丸身
ログハウス部材の所定断面からの断面欠損を丸身とし、丸身は、ロ
グハウス部材の設計断面積の10%を超えないこと。また丸身は1ヵ所
であり、かつ長さは60cm以下であること。なお、壁の水密性に影
響を与えるような丸身はないものとする。
7)平均年輪幅
平均年輪幅は、等級により以下のとおりとする。
特等 8mm以下
1等 10mm以下
8)節
各等級における節径比は次の表に基づくこと。
なお、死節は顕著でないこととする。
| 特等 | 1等 |
単独節径比 | 40%以下 | 60%以下 |
集中節径比 | 60%以下 | 90%以下 |
| 品質基準に関しては、丸太および特殊な形状を持つ部材の強度
性能についてのデータが整備されておらず、根拠とすべき数値
に乏しい現状にある。
しかし角ログ等では形状的に製材に近いこともあり、製材JAS
との整合性も必要になってくると思われる。そこで、製材JAS
甲種構造用U(曲げ部材、平角、正角等)の基準値
を参考に調整した。
腐朽、虫食いについてはログハウス部材がそのまま壁表面材料
となること、アンケート調査でも制限すべきものとしての指摘
頻度が高いことから、"ないこと"とした。
曲りは製材JASに準じた。
割れ
ここで述べている貫通割れ、木口割れ、材面割れ、目回りは
次の図に示すものである。
製材JASでは強度的性質に影響する割れとして貫通割れと目回り
のみを制限している。
ログハウスでは貫通割れが水密性に直接影響するため禁止する
こととした。したがって背割とつながった材面割れは貫通割れ
とみなすものとする。木口割れ、材面割れについては耐久性及
び視覚的な問題から制限値を設けたものである。材面割れの軽
微なこととは、割れの幅が3mm以下のものとする。また材面に
延びた木口割れも幅は3mm以下に制限される。
目回りについては横圧縮荷重下では拡大していく危険性がある
ため、髄近辺を除いて禁止することとした。
丸身
丸身による断面欠損面積の計算は実際的に困難な部分が多い
ものと思われる。ここでは計算の簡略化のために丸身面積を原
則的に丸身の長さbと深さhからなる三角形の面積(場合によっ
ては台形)で求めることとした。計算例を以下に示す。
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節径比の計算にあっては、ログハウス部材断面に内接する面積最大の
矩形断面に関して行うものとする。矩形断面を求める場合には背割を
無視するものとする。したがって節径比はログハウス部材表面の節の
心と髄を結ぶ直線が横切る矩形断面の辺長を用いて計算するものとし
、節径比の計算は各部材ごとに行うものとする。
なお、節径比の計算においては傷、穴を節とみなして扱うものとする。
節径比(%)=100×ka/Bあるいは
節径比(%)=100×k1/Hの大きいもの
9)繊維傾斜
部材の長軸に対する繊維傾斜は、特等にあっては1/8以下、1等にあ
っては1/6以下とする。
10)乾燥材、防腐処理材
乾燥ログハウス部材と表示する場合は、工場出荷時において含水率
が15、 20、25%以下のものをそれぞれD15、D20、D25と表示するも
のとする。
防腐処理等の薬剤処理の表示にあっては、JAS、JISあるいはAQの基
準に 準じるものとする。
11)その他
反りやねじは使用上支障のない程度とする。 | ログハウスが構造計算可能な設計自由度の高い構法として発展
していくためには、ログハウス部材の許容応力度等を整備して
いく必要がある。しかしログハウス部材は角型から円型状まで
種々の断面形状があり、設計計算が煩雑になるのはもちろん、
許容応力度設定における強度低減因子の評価方法等に関しても
問題となってくる。ここでは、ASTM D3957を参考にして内接
矩形断面への置き換えを用い、これを設計断面と考えることと
した。
節径比の計算にあたっては、節径には部材表面における節の
接線径、辺長にはこの節が横切る内接矩形断面の辺長を用いて
行うこととした。
単独節径比は各材面における節径比の最大値、集中節径比は
各材面において15cm長さの材面に存する節にかかる径比の合計
で最大のものとする。
節径比の基準値は製材JAS甲種構造用Uの3級材の狭い材面の
値と同一のものとした。
原則的に、節径は部材外周に沿って測定するが、曲率等を無視
して直線的に測定してもよい。
また、凹凸により節径の測定が困難な場合、あるいは仮想矩形
断面上の節径と著しく異なる場合には、矩形断面の辺に平行に
測定するものとする。以下に節径比の計算例を示す。
節径比の計算例
径k1、k3については外周に沿って径を測定できないため材幅
に平行に径を測定する。
k2'が測定しにくい場合はk2でもよい。
節径比はk1/B、k2/B、k3/Bから求める。
k4は節の心が矩形断面の材せいを横切っているため、側面に沿
って測定する。
k5は同様に材幅を横切っているため底辺に平行に測定する。
節径比はk4/H、k5/Bから求める。
k6は外周に沿った測定が可能だが、矩形断面での節径と著しく
異なってくるため材幅に平行に測定する。k7は外周に沿った測
定ができないため底辺に平行に測定する。
節径比はk6/B、k7/Bから求める。
k8、k9はそれぞれの節の心が材せい、材幅を横切っているため
節径比はk8/H、k9/Bから求める。
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基準 | 解説 |
1.適用範囲
この基準は、機械を用いて加工するログハウス部材原木に適用する。
2.等級
ログハウス用原木は、品質に応じて特等と1等に区分する。
3.寸法
ログハウス用原木の標準寸法は次の通りとする。
直径14cm以上の丸太については2cm括約とし、14cm未満の丸太について
は1cm括約とする。なお、表示直径を下回らないものとする。
長さは、2、3、4、5、6、8、10、12mの8種類とする。 | 原木の長さは、流通の実態や具体的なログハウスの設計
例等を参考にして設定した。 |
4.品質
1)腐れ ないこと
2)虫食い ないこと
3)曲り
曲りは丸太の末元中心線からの最大矢高を測定するものとし、末口
直径の比で表すものとする。S字曲り、2方向への曲りはそれぞれの矢
高の合計を最大矢高とする。 曲りの制限値は、等級により以下のと
おりとする。
曲り 1級 10%以下
2級 20%以下
Daを末口直径とすると
曲り(%)=100×ta/Da
あるいは
曲り(%)=100×(t1+t2)/Da | 品質基準は概ねログハウス部材の品質基準に準拠して設
定した。曲り 曲りの計算に関しては矢高を材長で割る製
材方式と直径で割る素材方式、矢高の測定についても木口
外縁線からの偏差を測定する方式と両木口中心線からの偏
差を測定する方式がある。
ここでは、木口外縁線からの矢高では根元曲りや根張り
部の影響が大きいことから、木口中心線からの矢高を測定
することとした。また、曲りを末口直径比としたのは原木
が丸棒加工等を施されることを前提にすると、長さ比とす
るよりも製品加工上有効と考えられるためである。
基準値はこれまでの経験や素材JAS等を参考にして設定
した。
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4)割れ
貫通割れ ないこと
木口割れ 髄を超えて伸びないこと
材面割れ 材長の1/3以下
目回り 髄より半径2cmを超える部分にないこと
5)平均年輪幅
丸太の平均年輪幅は、末口で測定し、特等にあっては8mm以下、
1等にあっては10mm以下とする。
6)根張り
元口直径は元口より1m部位の直径を6cm以上超えないこと。
7)節
節径は接線径を測定するものとし、集中節径比は15cmにかかる節径
の合計値とする。
死節は顕著でないこと。
単独節径比は、特等にあっては丸太直径の30%、1等にあっては丸太
直径の45%を超えないこと。
集中節径比は任意の丸太表面の1/4の部分で最大の集中節径比が、特
等にあっては丸太直径の45%、1等にあっては丸太直径の60%を超えな
いこと。
単独節径比(%)=100×k2/D0
集中節径比(%)=100×(k1+k2)/D0 | 根張り
オーストラリア規格、ASTM規格等では元口周囲長を元口
より0.9m部位の周囲長より203mm(直径換算65mm)を超え
ないこととし、根張りに対する制限が設けられている。
根張りは丸棒成型時における加工手間との関連になってく
るため、この値を参考にして基準値を設定した。
ただし、材長が標準長さを超える丸太、いわゆる延寸の
ある丸太については、標準長さにおける元口径とそれより
1m部位の直径について判定するものとする。節 丸太表面
における許容節径値については以下に基づいている。直径D
の丸太から正角の角ログをとるものとする。
角ログの辺長(H)はD/√2となり、正角での節径比を60
%とすると節径は0.6×D√2が得られる。丸太ではより大き
な節径まで許容されてくることになるが、高さHのタイコ材
にした場合には許容値を超える丸太となってくる。したがっ
て丸太表面において許容値を0.6×D√2としておけば、タイ
コ材、角材のどちらに製材しても節径比は満たされることに
なる。
節径比を丸太の直径に対する比で表すと、正角の節径比60
%は丸太直径の42%、同90%は直径の63%、同40%は直径の
28%が得られる。 |