
ログハウス(丸太組構法住宅)は、丸太材や角材を横に積み上げて構成する住宅です。木材はせんい方向にはほとんど収縮しませんが、せんい方向と直角の方向には含水率(木材中の水分量)が高いほど収縮する特徴があります。 丸太材の収縮により壁全体に収縮がおこりますが、窓や出入口等にはそのための収縮スペースをあらかじめ作っておきますので心配はありません。また、木材は天然の素材ですから乾燥により日割れや樹液のしみだしが生ずることもあります。ログハウスを建設する場合は、あらかじめ特長を設計者や施工業者からよく説明を受け、理解しておくことが重要です。なお、契約の際アフターメンテナンスについて、施工業者と十分打合せをすることが重要です。
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ログハウスのメンテナンス
日ごろ住まいのお手入れは、住宅金融支援機構の「住まいの管理手帳」等に細かくまとめられていますのでご参考にして下さい。
乾燥収縮進行中の措置
①通しボルトの締め直し
丸太材等で構成する壁体の収縮に合わせて、通しのボルトの下部に設けたナットの緩みをスパナ等で絞め直します。絞め直しは次の時期を目安に行って下さい。
第1回目 竣工後6ヵ月 第2回目 竣工後1年
第3回目 竣工後2年 第4回目 竣工後3年(大断面丸太材等の場合)
②丸太材等の収縮に伴う調整材の除去
ベランダやポーチ等に設けた支柱並びに、階段等でその上部又は下部に調節材を設けている場合には、丸太材等の壁体の収縮に合わせて、その調整材を取り除くことが必要になります。取り除く時期は、通常通しボルトを絞め直しする時期と同じです。
乾燥収縮終了後の措置
(一般的には、施工業者が行うのが通常です)
丸太材等の乾燥収縮は一般に2~3年程度でおさまります。収縮がおさまったと思う時期に次のような措置を行って下さい。
①窓、ドア一等の上部で収縮スペースが残っている場合
その部分に断熱材を充填する。既存の断熱材を使用する場合は断熱材が湿っていないかを確認し、湿っている場合には取り替えて下さい。
②丸太材等の間に隙間が生じている場合
その部分にJISA-5751に規定する建築用油性シーリング材等を充填します。
③調整材
調整材の取はずしと収縮補助用金物(ジャッキなど)等を調整のうえ固定する。
④丸太材等の乾燥収縮に伴う側板の調整
開口部や間仕切壁の上部の幕板、小屋組の妻面等に丸太材等を積み上げた時にたる木に取りつけた側板は、適切な高さに調整し固定します。
⑤建具枠及び建具の調整
建具の枠が壁とすきまなく納まっているか、また、建具の建付も調整します。
丸太材等の保護(防腐・防蟻措置)
①木材保護塗料の塗り替え
丸太材等の外部塗装は、塗り替えを前提としております。塗料面が劣化すると、次に木部が劣化していきますので早めの塗り替えが望ましく、標準的な最初の塗り替えは、屋根の無い雨がかり部分は3年、屋根ある部分は5年程度が最良です。
②日割れの保護
一般に丸太材等は乾燥収縮に伴い、表面に日割れが生じます。日割れは背割りしたログの場合は、大きな日割れは少なくて済む場合もあります。日割れから雨水が浸入し、木材を腐朽させますので、その場合は防腐剤等を塗布することが必要です。 ログハウスでは、外壁やベランダ等の木材の経年による劣化は、建設地の環境で大きく左右されますので、定期的な点検と早めの手当が大切です。
樹液のしみ出し
からまつ、べいまつ等樹脂を多く含む樹種はあらかじめ脱脂してからログ材や構造材等に使用することが望ましいですが、樹脂が材内に残っていますと建物の完成後に樹脂がしみ出してくることがあります。樹脂の取除きは次のような措置をして下さい。
①金属板、ナイフ、薄板、厚紙等でできるだけ欠きとる。
②有機溶剤を染み込みさせた布等で拭き取る。
注):有機溶剤には、アルコール、シンナー、アセトン等がありますが、処理後のシミ等を考慮すればアルコールでの拭き取りをお勧めします。アルコールは濃度の高いほどスムーズに樹脂を溶かしますが処理後材面が白くなりがちですので、70%位に水で薄めて、その部分だけ拭き取るようにして下さい。
結露、かびの発生
冬や梅雨の季節で、壁材等の丸太材等が乾燥収縮している間は、北側の内壁側や屋内の空気がよどむ部分には結露を起こしやすく、かび発生の原因になりがちです。室内の通風を良くして乾燥に注意し、結露したら乾いた布で拭き取るようにして下さい。
火災予防
ログハウスは一般的に内装をしないで木材が現しになっている場合が多いので、暖炉やストーブ等の暖房器具を壁際に設置する場合には、器具メーカーの仕様に従って取り付けし、火災に対する配慮が特に重要です。
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