3.14 ラフスクライブ
ラフスクライブするには、ログ壁の上面とセットしたログの下面が平行になるくらいまでジャッキ(一般乗用車についているものを上と下の丸太に接する面に、少し曲がった金物を溶接などで付けると安定します)、またはクサビ、木切れなどでその上下ログの面が大体平行になるくらいまで上げます。
スクライバーの幅は、セット時幅-5~6cmにしてラフスクライブします。
前出の鉛直線の項で述べた相当幅とはこの寸法のことで、これがワイデストポイントとなります。スクライブのラインは、下から上にスクライバーを移動してマークすれば、鉛筆が引っ掛からずにスムーズに作業が進みます。
3.15 ラフカット
上記スクライブラインによって、ログを建物の内側へ半回転させるか地上へ降し、固定してカットします。
これは、次のフィニッシュスクライブを精密にするための前工程作業で、いいかえればログの高さを整えるための作業でもあります。ですから、前述のログ壁上面とセットしたログの下面が大体平行になり、しかもワイデストポイントが5~6cmになればいいのです。
(熟練ビルダーになると、ノッチ部の芯の確認をすればラフカットはラフスクライブなしで行います。)
3.16 フィニッシュスクライブ
この作業はログの精度を決める作業ですから、慎重に行う必要があります。
スクライブの項でも述べましたが、例えばワイデストポイントが5cmで、ログ径が30cmの場合、スクライブの幅を5cm+0.5cm~1cm = 5.5cm~6cmにすると、ログの重なり幅もこのプラスによって決まってきます。重なり幅は1番狭い処を基準とします。
※ワイデストポイントは5~6cmぐらいが一番精度がよく作業もしやすいようです。重なり幅は断熱性能の地域区分によって決められていますので、地域によって0.5~1cmは変わります。また、丸太の直径によっても変わってきます。
3.17 グルーブのスクライブ
フィニッシュスクライブと同時に、グルーブのスクライブも同じスクライバー幅によって行います。ラインの見えにくい所もできるので、鉛筆で描き直して見やすくします。
3.18 スコアーリング
この線(スクライブライン)の内側をナイフやノミで深さ2~3mmぐらいをスコアーリングしておくと、チェンソウでカットした時の毛ばたち(バリ)が出ないので、仕上がりが美しくなります。
3.19 フィニッシュカット
カットは、スクライブラインにそってラインを残すくらいがよくフィットします。ラインをオーバーカットしてしまうとログの接触面が合わなり、大変なことにななるので、チェンソーをよく切れるように整備し、バーの先でカットするようにします。
チェンソーでカットする場合、チェン(刃)はバーの上から先を回って下の手前にくるようになっているので、引く方(つまりバーの下側手前)にささくれ(いばり)ができます。したがって、これが出ないようにしなければなりません。
チェンソーに熟練したビルダーは、チェンソーを逆さにしてバーの背でカットし、丸太の一方で両方のエッヂをカットしますが、この作業は大変危険で相当の熟練が必要です。
ノッチのエッヂ部で刃を立て、盗み懐をとるようにカットすれば、よくフィットします。
チェンソーのバーの刃先で、ブラッシングカットなどスクライブラインを1本分残すぐらいに仕上げをします。